高校受験の英語ロードマップ|学年ではなく「中学英語全体」で完成させる進め方
高校受験の英語を考えるとき、学校の進度に合わせて「中1英語」「中2英語」「中3英語」と分けて考える人は多いです。
ただ、私の英語指導は少し違います。 このロードマップは、学年ごとの枠に合わせるのではなく、中学英語全体をどう完成させるかという前提で組んでいます。
理由はシンプルです。 高校受験で必要なのは、学年ごとの内容を順番に終えることではなく、中学英語全体を使える状態にすることだからです。
そのため、このロードマップでは学校の進度よりも、
- 中学英語の全体像を早くつかむ
- 必要な順に定着させる
- できるだけ早く長文と入試演習に入る
ことを重視しています。
中3から本格的に英語を始めると、文法・単語・長文の基礎固めと過去問演習を同じ1年間で進めることになります。 すると、本来いちばん積みたいはずの過去問演習の時間が削られます。
逆に言えば、中2までにここまで終えていれば、中3では一気に加速できます。 周りが1か月かけて英文法を総復習しているあいだに、こちらは過去問を大量に進められます。
これは英語に限った話ではありません。 どの教科でも、早い段階で土台を固めた生徒ほど、その後の伸びは大きくなります。
このロードマップは、そうした考え方を英語学習に落とし込み、何を、どの順番で、どこまで進めるかを具体化したものです。
だからこそ、このロードマップでは、単語の書き取りのような効果の薄い学習は行いません。 実際に成績につながることだけを見極め、必要なことを必要なだけ、入試本番を見据えて積み上げていきます。
中2までにやりたいこと
1. まずは文法を軽く一周する
期間の目安:2か月
使う教材
- 東進 レベル別問題集 英文法 1
- どんどん話すための瞬間英作文(補助教材)


この段階では、学校の学年進度に合わせて進めるのではなく、中学英文法を学年の枠をまたいで一通り触れます。
ここで大事なのは、文法を完璧に覚えることではありません。 目的は、中学英語全体の地図を先に頭に入れることです。
中1・中2・中3と順番に区切って理解しようとすると、前の単元が曖昧なまま次に進みやすくなります。 だから最初の段階で、まずは中学英文法を全体として一度見渡します。
このとき、補助教材として使うのが『どんどん話すための瞬間英作文』です。
この教材を入れる理由は、スピーキング対策そのものではありません。 目的は、簡易な短文に大量に触れて、文法ルールをなじませることです。
文法は、解説を読んで理解しただけでは定着しません。 主語が変わる、時制が変わる、否定文になる、疑問文になる。 そうした形を短い英文で何度も回して、初めて反応できる知識になります。
さらに、この段階は家庭教師の強みが特に出やすい部分でもあります。 英語が苦手な生徒は、単語の意味は追えても、英語の語順や文の構造をうまくつかめていないことが多いです。
1対1なら、その場で 「主語はどれか」 「動詞はどこか」 「この語順で意味がどう流れるか」 を細かく確認しながら進められます。
英語の語順や構造は、自分で勉強を続けていても、いずれ理解できるようになります。 ただ、そこに至るまでにかなり時間がかかることが少なくありません。
家庭教師では、その土台を早い段階で身につけられるため、英語理解の大きな近道になります。 ここで語順と構造が入ると、あとから文法・単語・長文がつながりやすくなります。
この段階では、難しい英文は必要ありません。 むしろ、簡単な文を大量に処理しながら、語順と構造に慣れることに意味があります。
この段階の到達目標
- 中学英文法の全体像を一度見ている
- be動詞、一般動詞、時制、助動詞、不定詞、比較、受け身などの主要単元に触れている
- 短い英文の形に素早く反応し始めている
- 英語の語順と構造を意識して読めるようになり始めている
- 文法を知識としてではなく、短文の中で動かす土台ができている
2. 単語と長文を始める
期間の目安:2か月
使う教材
- 速読英単語 中学版

ここでは、単語と長文を切り離しません。 単語帳だけを進めるのではなく、英文の中で単語を覚えながら、そのまま文法を使える形にしていきます。
この段階の長文は、長文読解を独立して鍛えるためのものではありません。 むしろ役割としては、1で触れた文法を英文の中で運用する訓練です。
最初の文法学習では、中学英文法の全体像を入れました。 ただ、文法は解説を読んで終わりでは使えるようになりません。
実際の英文の中で、
- この文の主語はどこか
- 動詞はどれか
- 時制はどうなっているか
- 不定詞や比較がどう使われているか
といったことを何度も確認して、初めて定着していきます。
その意味で、この段階の長文は「読解の練習」であると同時に、文法の強化そのものでもあります。 むしろ、現時点ではその側面のほうが強いです。
英語が苦手な生徒ほど、文法を文法問題の中だけで理解しようとしがちです。 でもそれでは、英文の中で文法がどう働いているかが見えません。
だからこの段階では、単語を覚えることと並行して、短めの英文を読みながら、文法を実際の文の中で使う練習を積んでいきます。
まだ難しい長文を読む必要はありません。 大事なのは、文法事項を英文の中で見つけて、意味の流れの中で処理できるようになることです。
この段階の到達目標
- 中学英語の重要単語に触れ始めている
- 文法事項を英文の中で見つけられるようになり始めている
- 短い英文なら、語順と構造を意識しながら読める
- 単語学習と読解を通して、文法の運用力が上がっている
3. 文法をしっかり固める
期間の目安:1か月
使う教材
- English Grammar in Use
- 東進 レベル別問題集 英文法 1(2回目)


ここが加速ポイントです。
最初の1周目で中学英文法の全体像を入れたあと、ここで改めて文法を整理し直します。 1回目は「見たことがある」にする段階でしたが、2回目は理解をつなげる段階です。
ここで使う English Grammar in Use は、すべて英語で書かれた教材です。
独学ではハードルが高いですが、家庭教師だからこそ使える教材でもあります。
わからない説明をその場で日本語に直しながら確認できるので、単なる答え合わせではなく、英語で文法を理解する感覚まで作りやすくなります。
特にこの教材は、時制と助動詞の解説が非常に優れています。 英語が苦手な生徒は、時制や助動詞を日本語訳だけで処理しがちですが、この教材は「なぜその形になるのか」「どういう場面で使い分けるのか」が見えやすいです。
時制と助動詞は、文法問題だけでなく長文理解にも直結するので、この段階で深く理解できる価値は大きいです。
そして同時に、東進レベル別問題集英文法1をもう一度やります。 同じ教材でも、1回目と2回目では見え方がまったく違います。 ここで一気に定着が進みます。
この段階の到達目標
- 文法を説明つきで理解できる
- 1回目では曖昧だった単元がつながる
- 特に時制と助動詞の理解が深まる
- 文法問題での正答率が上がる
4. 長文の基礎を作る
期間の目安:1か月
使う教材
- 東進 レベル別問題集 英語長文 1

ここから長文をしっかり始めます。
この段階の目的は、難問に挑戦することではありません。 まとまった英文を読むことに慣れることです。
英語の勉強では、文法がある程度できるのに長文に入るのが遅い生徒が多いです。 でも、高校受験で点差がつくのは最終的には長文です。 だから、基礎文法が一通り入ったら、できるだけ早く長文に移ります。
この段階の到達目標
- まとまった英文を最後まで読める
- 内容一致や基本的な設問に対応できる
- 長文への苦手意識が減る
5. 文法をもう一段階上げる
期間の目安:1か月
使う教材
- 全レベル問題集 英文法 1
- 東進 レベル別問題集 英文法 2


ここでは、文法をさらに仕上げていきます。
最初の文法学習は「全体像を作るため」、その次は「理解を深めるため」でした。 この段階では、入試で失点しないための文法力に寄せていきます。
この時点では、最初の段階とは前提の学力がかなり変わっています。 1の段階では、まだ文法の全体像を入れている途中なので、2か月かけて1冊取り組む形になります。
一方で5の段階では、すでに中学英文法を一通り見ていて、短文で文法を回し、単語と長文にも触れ、English Grammar in Use で理解も深めている状態です。
つまり、ここではゼロから新しく学ぶというより、すでにある文法知識を整理し直し、精度を上げる作業になります。 だからこの段階では、1か月で2冊進めることができます。
これは単に急いでいるのではなく、学力が上がったことで教材を処理する速度そのものが変わっているということです。
長文を読んでいると、文法理解の浅さはすぐに出ます。 だから長文と並行しながら、ここで文法をもう一段階引き上げます。
この段階の到達目標
- 基本文法を安定して使える
- 文法問題で失点しにくくなる
- 長文の文構造が取りやすくなる
- 文法教材を速く、正確に処理できる状態になる
6. 単語と長文を再強化する
期間の目安:2か月
使う教材
- 速読英単語 入門編

ここで使う「入門編」は、中学の入門ではなく、高校レベルの英文への入門です。 少し先のレベルに触れながら、読みの体力を作る意味があります。
この段階まで来ると、文法の土台はかなりできています。 だから次は、読む量そのものを増やすことが大事になります。
一文ずつ止まりながら読むのではなく、少しずつまとまりで読む感覚を育てていきます。
この段階の到達目標
- 語彙力が一段上がる
- 少し長めの英文でも粘って読める
- 高校入試標準レベルの長文に向けた土台ができる
7. 長文レベルを上げる
期間の目安:1か月
使う教材
- 東進 レベル別問題集 英語長文 2
- 全レベル問題集 英語長文 1


ここでは、さらに長文の処理力を上げます。
文法と単語の基礎がある程度整っているので、この段階では読む量を確保することと設問まで含めて処理することが重要です。
英語は、ある段階を超えると演習量がそのまま得点力につながりやすい教科です。 ここから先は、読む経験が大きな差になります。
この段階の到達目標
- 高校入試の標準的な英文に対応し始める
- 設問処理まで含めて長文に慣れる
- 中3で入試演習に入る準備が整う
中2までにここまで終える意味
このロードマップ全体は、おおよそ10か月です。 つまり、中2から始めたとしても、年度内に十分終えられる計算になります。 2か月ほどの余裕もあります。
さらに、中1から始めれば、中2のうちに中学英語の主要部分がかなり仕上がります。 そうなると、中2の段階で高校レベルの教材へ踏み込むこともできます。
ここまで進められると、中3からようやく受験勉強を始める生徒とはかなり差がつきます。 文法・単語・長文の基礎がしっかり入っていれば、中3生の中に入っても偏差値60〜65程度を狙えるラインに乗ってきます。
実際、中3秋の模試では、このロードマップをこなした生徒は、今のところ、偏差値65〜75程度の結果が出ています。 それだけ、中2までに土台を作っておく価値は大きいです。
もちろん、模試や地域によって数字は前後します。 ただ、それ以上に重要なのは、中3を何に使えるかです。
中3から本格的に始めると、この全行程を中3の1年間でやることになります。 すると、どうしても後半で本来たくさん積みたいはずの過去問演習の時間が削られます。
本来、中3は過去問を解き、間違いを分析し、弱点単元に戻り、もう一度解く、という流れを何度も回したい時期です。 でも基礎が終わっていないと、その時間が文法や単語のやり直しに消えていきます。
逆に、中2までにここまで終わっていれば、中3では基礎のインプットに時間を取られません。 だから演習量が一気に増え、英語の加速が止まりません。
周りが1か月かけて英文法を総復習しているあいだに、こちらは過去問を大量に進められます。 この差はかなり大きいです。
英語で差がつくのは、才能よりも中3を基礎固めに使うか、演習に使えるかです。
中3でやること
中2までにここまで終わったら、中3では以下に進みます。
- 全国高校入試問題正解
- 志望校を中心にした過去問演習
- その他の入試問題演習

ここからは、単なる知識の追加ではなく、入試で点を取る練習です。
どの設問で落としたのか、語彙で止まったのか、文構造が取れなかったのか、時間が足りなかったのか。 そうした点を分析しながら、実戦レベルに仕上げていきます。
中3は、基礎をやり直す年ではなく、入試対応の年にしたいです。
まとめ
高校受験の英語で大事なのは、学年どおりに勉強することではありません。 大事なのは、中学英語全体をいつ完成させるかです。
このロードマップでは、最初から学年の枠を外し、中学英語を一つの範囲として見ています。 そのうえで、文法の全体像を先に入れ、単語と長文を重ね、できるだけ早く受験演習に入る流れを作っています。
中3から基礎を始めると、どうしても過去問演習の時間が削られます。 でも中2までにここまで終えていれば、中3では一気に加速できます。