高校受験の数学ロードマップ|学年ではなく「中学数学全体」で完成させる進め方
高校受験の数学を考えるとき、学校の進度に合わせて「中1数学」「中2数学」「中3数学」と学年ごとに区切って考える人は多いです。
ただ、私の数学指導は少し違います。 このロードマップは、学年ごとの枠に合わせるのではなく、中学数学全体をどう完成させるかという前提で組んでいます。
理由はシンプルです。 高校受験で必要なのは、学年ごとの内容を順番に終えることではなく、中学数学全体を使える状態にすることだからです。
そのため、このロードマップでは学校の進度よりも、
- 中学数学の全体像を早くつかむ
- 分野ごとにまとめて完成させる
- できるだけ早く入試演習に入る
ことを重視しています。
中3から本格的に数学を始め、しかも学校の進度に合わせて学年どおりに進めていると、そもそも範囲の履修自体が入試直前の2月ごろまで終わらないこともあります。 その状態では、計算・関数・図形の基礎固めと過去問演習を同じ1年間で進めるどころか、過去問に本格的に入る前提そのものが整いません。 結果として、本来いちばん積みたいはずの過去問演習の時間が大きく削られます。
逆に言えば、中2までに中学数学を一通り終えていれば、中3では基礎のインプットに時間を取られません。 このロードマップは、そうした考え方を数学学習に落とし込み、何を、どの順番で、どこまで進めるかを具体化したものです。
だからこそ、このロードマップでは、学校の小テスト向けの細切れ学習には合わせません。 実際に成績につながることだけを見極め、必要なことを必要なだけ、入試本番を見据えて積み上げていきます。
中2までにやりたいこと
1. まずは計算範囲をすべて履修する
期間の目安:2か月
使う教材
- 全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学
- 近道問題 数学01 式と計算
- 近道問題 数学02 方程式・確率・資料の活用



この段階では、関数や図形に入る前に、中学で扱う計算範囲をまとめて全部終わらせます。
ここで大事なのは、学校の進度に合わせて少しずつ進めることではありません。 目的は、中学数学の土台になる計算処理を先に完成させることです。
数学が苦手な生徒ほど、関数や図形でつまずいているように見えて、実際にはその前提になっている計算で止まっています。
式の展開、因数分解、文字式の処理、方程式の変形。 こうした内容が不安定だと、その後にどれだけ関数や図形を勉強しても伸びにくいです。
だから最初に、計算範囲をまとめて固めます。 この段階では、問題量をしっかり確保しながら、入試水準の問題で計算処理を安定させていくことが重要です。
この段階の到達目標
- 中学で必要な計算範囲を一通り終えている
- 展開、因数分解、方程式処理が安定している
- 計算ミスが減り、式変形に抵抗がなくなっている
- 関数や図形に進むための土台ができている
2. 関数範囲をすべて履修する
期間の目安:2か月
使う教材
- 全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学
- 近道問題 数学03 関数とグラフ


ここでは、関数範囲をまとめて進めます。 一次関数をやったあと、そのまま二次関数まで続けて履修します。
関数は、学年ごとに切って学ぶよりも、まとめて見たほうが理解しやすい分野です。
一次関数だけを単独でやると、「比例・反比例の延長」くらいで終わってしまうことがあります。 でもそのあとに二次関数まで続けて見ると、グラフ、変化、座標、面積、交点といったテーマがつながって見えてきます。
数学が苦手な生徒ほど、単元を別々に覚えようとしてしまいます。 ただ、入試では一次関数と図形が組み合わさったり、グラフの見方そのものが問われたりします。
だからこの段階では、関数を一つの大きな分野としてまとめて完成させることが重要です。 ここでは、問題演習を通して関数特有の処理に慣れ、頻出テーマを一通り踏んでいきます。
この段階の到達目標
- 一次関数から二次関数まで一通り触れている
- グラフと式を行き来しながら考えられる
- 変化の割合、交点、面積などの頻出テーマに対応し始めている
- 関数を単独単元ではなく、まとまった分野として理解し始めている
3. 図形範囲を履修する
期間の目安:2か月
使う教材
- 全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学
- 近道問題 数学04 図形〈1・2年分野〉
- 近道問題 数学05 図形〈3年分野〉



ここでは、図形範囲をまとめて進めます。
扱うのは、
- 合同
- 相似
- 円
- 立体
です。
図形は、数学の中でも特に差がつきやすい分野です。 理由は、単なる知識暗記ではなく、条件を読み取り、関係を見つけ、筋道を立てて考える力がそのまま出るからです。
しかも図形は、合同だけ、相似だけ、と細かく切り分けて勉強すると全体像が見えにくくなります。 証明、比、角度、面積、体積、空間把握は、実際にはかなりつながっています。
だからこの段階では、図形をまとめて履修します。
図形は、解説を読んでわかった気になるだけでは伸びません。 補助線をどこに引くか、どの条件を使うか、どこまでを既知として置くか。 そうした発想は、問題演習の中でしか育ちません。
図形は、典型問題をある程度まとまった量で踏むことで、発想の型が少しずつ見えてきます。
この段階の到達目標
- 合同、相似、円、立体を一通り終えている
- 図形の基本定理や頻出パターンに触れている
- 証明や面積比、長さの比に対応し始めている
- 図形問題に対する思考の流れが少しずつ作られている
4. 確率・資料の活用を履修する
期間の目安:1か月
使う教材
- 全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学
- 近道問題 数学02 方程式・確率・資料の活用


ここでは、確率と資料の活用をまとめて整理します。
この分野は、計算や図形に比べると軽く見られやすいですが、実際には入試で落としたくない範囲です。 難問ではなくても、処理の雑さで失点しやすいからです。
確率は、単に公式を覚えるよりも、場合分けを正確に整理する力が必要です。 資料の活用も、読み取りを雑にするとすぐに落とします。
すでに計算範囲を先に終えているので、この時点では処理のベースがあります。 そのため、ここは長く引っ張るより、入試で落とさない水準まで一気に持っていくほうが効率がいいです。
この段階の到達目標
- 確率の基本処理ができる
- 場合分けや整理が以前より正確になる
- 資料の活用の典型問題に対応できる
- 落としてはいけない問題を落としにくくなる
5. 数列などそのほかの問題に触れる
期間の目安:1か月
使う教材
- 全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学

ここでは、数列など、そのほかの問題に触れていきます。
中学数学の王道は、計算、関数、図形です。 ただ、入試ではそれだけではなく、規則性や思考系の問題が出ることもあります。
この分野は、他の主要分野ほど時間をかける必要はありません。 ただし、まったく見たことがない状態で入試に行くのは避けたいです。
だからこの段階では、数列的な問題や規則性の問題、少し発想を要する問題に触れておきます。
ここで大事なのは、完璧に解けることではありません。 目的は、見慣れない問題に対する抵抗を減らすことです。
この段階の到達目標
- 数列や規則性の問題に一度は触れている
- 見慣れない問題でも手をつける感覚ができている
- 主要分野以外の出題にも最低限対応できる土台がある
中2までにここまで終える意味
このロードマップ全体は、おおよそ8か月です。
つまり、中2の早い段階から始めれば、年度内に十分終えられる計算になります。 さらに早く始めれば、そのぶん余裕も生まれます。
ここまで進められると、中3から本格的に数学を始める生徒とはかなり差がつきます。 この段階まで終えていれば、中3生の中に入っても偏差値60〜65程度を狙えるラインには乗ってきます。 実際、中3秋の模試では、このロードマップをこなした生徒は、今のところ偏差値65〜75程度の結果が出ています。
数学で差がつくのは、単にセンスがあるかどうかではありません。 それ以上に大きいのは、中3を基礎固めに使うか、演習に使えるかです。
中3から本格的に始めると、この全行程を中3の1年間でやることになります。 すると、どうしても後半で本来たくさん積みたいはずの過去問演習の時間が削られます。
本来、中3は過去問を解き、間違いを分析し、弱点分野に戻り、もう一度解く、という流れを何度も回したい時期です。 でも基礎が終わっていないと、その時間が計算の復習や図形のやり直しに消えていきます。
逆に、中2までにここまで終わっていれば、中3では演習量が一気に増えます。 周りが計算や関数を総復習しているあいだに、こちらは過去問を大量に進められます。 そしてこの差は、単なる演習量の差ではありません。 分野別の総復習を繰り返すより、過去問の中で中学数学全体を使いながら弱点を洗い出していくほうが、復習としての質ははるかに高いです。 入試で実際に問われる形の中でできないところが見えるからこそ、その後の戻り方も的確になります。 その差は、最終的にかなり大きな差になります。
この進め方で使う教材のよさ
このロードマップで軸にしているのは、分野別教材で一気に進めることです。
特に「全国高校入試問題正解 分野別過去問 数学」のよさは大きいです。
よいところは主に3つあります。
- 問題数が多い
- 分野ごとに整理されている
- 徐々に難易度が上がる構成になっている
さらに、載っているのが実際の入試問題なので、最初からリアルな入試の問い方に触れられます。
数学は、簡単な問題ばかりやっていても基礎は身につきません。 本当に必要な基礎は、入試標準レベルの問題に触れながら作るものです。
だからこのロードマップでは、最初から入試標準レベルで履修させます。
中3でやること
中2までにここまで終わったら、中3では以下に進みます。
- 全国高校入試問題正解 数学
- 志望校中心の過去問
- そのほか入試問題演習

ここからは、単なる知識の追加ではなく、入試で点を取る練習です。
どの分野で落としたのか。 計算ミスなのか、関数の処理なのか、図形の発想なのか、時間不足なのか。 そうした点を分析しながら、実戦レベルに仕上げていきます。
中3は、基礎をやり直す年ではなく、入試対応の年にしたいです。
まとめ
高校受験の数学で大事なのは、学年どおりに勉強することではありません。 大事なのは、中学数学全体をいつ完成させるかです。
このロードマップでは、最初から学年の枠を外し、中学数学を一つの範囲として見ています。 そのうえで、まず計算を固め、次に関数、図形、確率・資料へと進み、できるだけ早く受験演習に入る流れを作っています。
中3から基礎を始めると、どうしても過去問演習の時間が削られます。 でも中2までにここまで終えていれば、中3では一気に加速できます。
数学で差がつくのは、才能よりも中3を基礎固めに使うか、演習に使えるかです。