論理学で学ぶ数学 Theme1
問題
実数の集合
を定める。 が の部分集合となる実数定数 の値の範囲を求めよ。
答案
求める条件は
全称命題をそのまま処理するのは不便なので、否定をとる。
これを満たす実数 が存在する条件は、
すなわち、
よって の条件は、
Point
部分集合であることの論理的言い換え
は「 のすべての要素が に属する」ことです。これを論理式で書くと、
となります。「部分集合」という集合の関係を、含意 を使った命題に翻訳できる点が出発点です。
の同値変形
含意 は と同値です。以下のように真理値が一致します。
| T | T | T | T |
| T | F | F | F |
| F | T | T | T |
| F | F | T | T |
の真理値の納得
の真理値表で直感に反しやすいのは、 が偽のとき常に T になる点です。これを腑に落とす見方を二つ挙げます。
一つ目は、T を F の補集合として捉える見方です。 が F になるのは「 が真かつ が偽」の1ケースだけ。残りはすべて T です。
混乱の正体は、 という命題全体の真偽を問うているのに、いつのまにか 単体の真偽を見てしまうことにあります。「不良品なら返金する」という保証で言えば、判定すべきは保証(命題)が守られたかどうかなのに、つい不良品を T、正常品を F と 単体の真偽に取り違えてしまう。不良品でなければ、返金しなくても保証は破られていません(T)。判定対象はあくまで含意命題の方だと意識し、「F でなければ T」と割り切れば、下2行はそのまま腑に落ちます。
二つ目は、 をフィルタと捉える見方です。
if p:
return q # q の真偽を返す
# p が偽 → フィルタを通過せず、判定に入りすらしない
たとえば「ログイン済みなら管理画面にアクセス可能」というルール。ログインしていないユーザーは、そもそも判定の対象に入りません。 が偽とはこの「フィルタを素通りする」状態です。
ド・モルガンの法則
答案中の以下の変形はド・モルガンの法則によります。
2区間の共通部分が空でない条件
と を同時に満たす実数 が存在する条件は、
です。共通部分の左端は「左端の大きい方」、右端は「右端の小さい方」になります。

本問では に対応します。