論理学で学ぶ数学 Theme2
問題
次の各文を論理記号を用いて表現せよ。また,(1)〜(4)を関数 と実数 についての条件と見たとき,相互の論理的関係を調べよ。ただし, は で定義された実数値関数とする。
(1) の値は,つねに 以下である。
(2) の最大値は である。
(3) は 以下のすべての実数値をとり得る。
(4) の値域は区間 である。
答案
は で定義された実数値関数とし, とする。
(1) は
(2) は,「 の値はつねに 以下である」かつ「 を値としてとる が存在する」と言い換えられるから,
(3) は
(4) は,「 の値はつねに 以下である」かつ「 以下のすべての実数値をとり得る」と言い換えられるから,
次に,相互の論理的関係を調べる。
(2) ならば, の値はつねに 以下であるから,
また,(4) は (1) と (3) をあわせた条件であるから,
したがって,
さらに,(1) と (3) が成り立てば,特に として となる が存在する。よって,
以上より,
一方,(2) から (3) は従わない。実際, とすれば (2) は成り立つが, 未満の値をとらないから (3) は成り立たない。
また,(3) から (2) も従わない。実際,, とすれば, 以下のすべての値をとるので (3) は成り立つが, はつねには成り立たないから (2) は成り立たない。
Point
この回は,解法を覚えるというより,日本語と論理式の対応を覚える回です。見た目の似た文でも, と の位置が変わるだけで意味は大きく変わります。
「つねに 以下」と「最大値は 」は違う
(1)
が言っているのは,「値が上に飛び出さない」ということだけです。これは が上界であることを表しています。
一方,「最大値は 」と言うためには,それだけでは足りません。さらに
が必要です。つまり, を実際にとる点が存在しなければなりません。
不等式の問題で等号成立条件を調べるのは,まさにこの存在条件を確認するためです。 を示しただけでは上界が分かるだけで,最大値が分かったことにはなりません。
は「値を埋める」条件
(3)
は,「 以下の値を全部出せる」という意味です。
ここで大事なのは, ではなく になっていることです。これは, についての条件ではなく,値そのもの について「その値を出せるか」を聞いています。
したがって,(3) だけでは より大きい値をとらないとは言っていません。値域を と言うには,「飛び出さない」条件である (1) も必要です。
値域は 2 つの条件に分かれる
(4) の「値域は である」は,次の 2 つに分かれます。
- 値はつねに 以下である
- 以下のすべての値をとる
つまり,
です。
値域を言う問題では,「範囲からはみ出さない」と「その範囲をちゃんと埋める」を分けて考えると整理しやすくなります。
この問題では,自然言語の文を読んだときに,何に対して を置くのか,どこで が必要になるのかを見抜くことが大切です。