一次関数の式|中学の関数 #06
前の記事では、一次関数では変化の割合が一定であり、それが傾きになることを見ました。
特に断りがない場合、このあとも関数は とし、入力 と出力 の対応を で表し、グラフは xy平面で考えます。
この記事では、その傾きを使って、直線の式をどのように求めるかを見ていきます。
直線の式は、傾きと通る点で決まる
一次関数の式は、
の形で表されます。
前の記事で見たように、 は傾きです。
そして、直線の式は、傾きと、その直線上の点が1つわかれば求められます。
たとえば、傾きが 2 で、点 を通るなら、その情報から直線の式を決めることができます。
この場合、求める直線の式は
です。実際、 のとき となり、たしかに を通ります。さらに、 の係数は 2 なので、傾きも 2 です。
また、前の記事では、異なる2点がわかれば、変化の割合として傾きが求められることを見ました。
したがって、異なる2点がわかれば、
- 2点から傾きを求める
- その傾きと、どちらか1つの点を使う
という流れで、直線の式を求められます。
練習問題
問題
次のうち、直線の式を求めるのに十分な情報を選べ。
(1) 傾きと、その直線上の点1つ
(2) 異なる2点
(3) 点1つだけ
▶解答を見る
(1)、(2)
縦にずらすと、式は になる
まず、
を考えます。
この直線は、傾きが 2 で、原点 を通ります。
この直線を上に 1 だけ平行移動すると、各点の 座標がすべて 1 増えるので、
になります。
同様に、上に -3 だけ平行移動すると、各点の 座標がすべて -3 増えるので、
になります。
このように、
を 方向に だけ平行移動すると、
になります。
したがって、一般に
を 方向に だけ平行移動すると、
になります。
これは、
の形そのものです。
つまり、傾き がわかれば、原点を通る直線
から 方向にどれだけずれているかがわかると、式が決まります。
TODO: 傾きが同じ 3 本の直線 、、 を同じ xy平面上に描き、上下のずれと 軸との交点の違いが見える図を挿入する。
練習問題
問題
(1) を上に 1 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(2) を上に -2 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(3) を上に だけ平行移動した直線の式を求めよ。
▶解答を見る
(1)
(2)
(3)
上下のずれは 軸との交点でわかる
直前のセクションで見た、直線の上下のずれは、 軸との交点を見ればわかります。
で とすると、
となります。
したがって、この直線は 軸と
で交わります。
この を、 切片 といいます。
したがって、 は、直線が 軸と交わる点の 座標であり、原点からの上下のずれ量を 軸上で見ることができます。
練習問題
問題
次の問いに答えよ。
(1) は、 軸とどの点で交わるか答えよ。
(2) の 切片を答えよ。
(3) は、 軸とどの点で交わるか。また、その 切片を答えよ。
▶解答を見る
(1)
(2)
(3)
軸との交点
切片
横にずらすと、式は になる
次に、
を 方向に平行移動することを考えます。
縦にずらしたときは、上下のずれをそのまま見ればよかったですが、横にずらしたときはそれが見えにくくなります。そこで、 軸との交点を調べて、原点と比べることにします。
まず、 方向に 1 だけ平行移動すると考えます。
この直線は
を通ります。
ここから 軸まで 1 左へ進むと、傾きが 2 なので、 は 2 下がります。
したがって、 軸との交点は
です。
したがって、式は
になります。
この式を
と書くと、右に 1 だけ平行移動したことに対応して、調整する量が
であることが見やすくなります。
次に、 方向に -3 だけ平行移動すると考えます。
同様に、この直線は
を通ります。
ここから 軸まで 3 右へ進むと、傾きが 2 なので、 は 6 上がります。
したがって、式は
となり、計算すると
です。
つまり、 に対して、移動量に応じた調整項を加えていることになります。
このように、 を 方向に だけ平行移動すると、調整する量は になるので、
になります。
とも書けます。
同じ見方で、一般に
を 方向に だけ平行移動すると、調整する量は になるので、
になります。
これは
とも書けます。
練習問題
問題
(1) を右に 1 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(2) を右に -2 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(3) を右に だけ平行移動した直線の式を求めよ。
▶解答を見る
(1)
(2)
(3)
縦にも横にもずらすと、式は になる
ここまでで、
- を 方向に だけ平行移動すると
- を 方向に だけ平行移動すると
となることがわかりました。
ここでは、この2つを合わせて考えます。
たとえば、
を右に 3 だけ平行移動すると、
になります。
さらに、これを上に 1 だけ平行移動すると、
になります。
このように、横にずらすと 、縦にずらすと なので、合わせると
になります。
今は詳しく知らなくてよいですが、一般に、関数 を右に 、上に だけ平行移動すると、
と表せます。
これを について直すと、
です。
練習問題
問題
(1) を右に 2、上に 5 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(2) を右に -1、上に 4 だけ平行移動した直線の式を求めよ。
(3) を右に 、上に だけ平行移動した直線の式を求めよ。
▶解答を見る
(1)
(2)
(3)
直線の式を求める
傾きと1点がわかるとき
傾きが の直線を考えるときは、まず原点を通る
を考えます。
この直線を、与えられた点 を通るように平行移動すれば、求める直線になります。
横に だけずらすと
になり、さらに上に だけずらすと
になります。
したがって、傾きが で、点 を通る直線の式は
です。
たとえば、傾きが 2 で、点 を通るなら、
を考えます。
これを、 を通るように右に 3、上に 1 だけ平行移動すると、
になります。
練習問題
問題
(1) 傾きが 3 で、点 を通る直線の式を求めよ。
(2) 傾きが -2 で、点 を通る直線の式を求めよ。
(3) 傾きが で、点 を通る直線の式を求めよ。
▶解答を見る
(1)
(2)
(3)
異なる2点がわかるとき
異なる2点がわかっているときは、まず2点から傾きを求めます。
すると、傾きと、その直線上の点が1つわかるので、直線の式を求められます。
たとえば、点
を通る直線を考えます。
まず、前の記事で学んだ変化の割合を使うと、傾きは
です。
これで傾きが 3 とわかったので、あとは直線上の点を1つ使えば、直線の式を求められます。
ここでは、点 を使います。
すると、傾きが 3 で、点 を通る直線なので、
もちろん、点 を使っても同じです。
となり、同じ結果になります。
このように、異なる2点がわかれば、
- 2点から傾きを求める
- その傾きと、どちらか1つの点を使う
という流れで、直線の式を求められます。
練習問題
問題
(1) 異なる2点 、 を通る直線の式を求めよ。
(2) 異なる2点 、 を通る直線の式を求めよ。
(3) 異なる2点 、 を通る直線の式を求めよ。
▶解答を見る
(1) 傾きは
よって、
(2) 傾きは
よって、
(3) 傾きは
よって、
代入して求める
このセクションでは、
に、通る点の座標を代入して直線の式を求めます。
学校では、主にこの求め方を扱います。
代入の考え方自体は大切ですが、実際に手早く求めるという点では少し遠回りになることもあります。
傾きと1点がわかるとき
たとえば、傾きが 2 で、点 を通る直線を考えます。
傾きが 2 なので、式は
の形です。
を通るから、
です。
したがって、
より、
です。
よって、直線の式は
です。
異なる2点がわかるとき
たとえば、点 、 を通る直線を考えます。
この直線の式を
とおいて、2点 、 を代入すると、
です。
ここで、②-① をすると、
となるので、
です。
これを①に代入すると、
より、
です。
したがって、直線の式は
です。
練習問題
問題
(1) 傾きが 3 で、点 を通る直線の式を、代入して求めよ。
(2) 異なる2点 、 を通る直線の式を、代入して求めよ。
▶解答を見る
(1) 傾きが 3 なので、
とおける。
を通るから、
より、
したがって、
(2)
ここで、②-① をすると、
より、
である。
これを①に代入すると、
より、
したがって、
まとめ
一次関数の式について、大切な点をまとめます。
- 一次関数の式は の形で表される
- は傾きである
- は 軸との交点の 座標であり、原点からの上下のずれ量を表す
- を上に だけ平行移動すると になる
- を右に だけ平行移動すると になる
- 横と縦の平行移動を合わせると になる
- 傾きが で、点 を通る直線の式は である
- 異なる2点がわかれば、まず傾きを求め、そのあとで直線の式を求められる
- 直線の式は、 に点の座標を代入して求めることもできる
このように考えると、直線の式は、ただ形を覚えるものではなく、
傾きと位置のずれを表したものだとわかります。